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医学部看護学科ならではの強みを活かした授業計画を

看護学科 多田 邦子 教授/基礎看護学講座

災害に対応できる医療従事者の育成 ~医学科との合同演習~

 看護学科1年次では、「大学基礎論」の1つのテーマとして、災害に関する授業を医学科と合同で行っています。授業では、災害の基本的な知識に関する講義や演習を通して、将来医療従事者となる立場を自覚し、災害時に必要な心構えや果たすべき役割について考えることを目標としています。学内の防災施設や設備、発災時の初動など、入学早期に具体的な学習を得ることによって意識が芽生えるものと思われます。
 さらに1年次には、高知県主催の総合防災訓練参加を授業の一環として設けており、学生はトリアージ訓練における「傷病者役」を担当します。トリアージ訓練は、治療の緊急性や症状の重症度から治療の優先順位を決定して搬入・治療などを行うもので、学生にとって臨場感のある経験となっています。また、この総合防災訓練では、避難所設置や行政機関の動き、消防署職員やライフラインの整備・復旧等の活動を見学することもでき、防災活動を網羅した訓練となっています。この防災訓練には医学科および県内外の複数の大学からも学生の参加があり、将来の医療従事者となる学生間のネットワーク作りの場としても意味のあるものとなっています。
 4年次には「災害看護学」の講義および演習による授業があり、これも医学科との合同授業となっています。この授業では午後半日にわたる演習が2日間あり、ロープ結びや三角巾による応急処置、担架による搬送、避難所の設置、傷病者収容のコントロールなどの充実した演習内容で、医療従事者に必要な災害現場でのマネジメントの意識付けを図ることができる授業となっています。演習には、危機管理医療学講座、災害・救急医療学講座の教員に加え、日本赤十字社他の職員の皆様にも多大なご支援をいただきながら実施しています。

トリアージ訓練の様子

附属病院看護部との連携による看護師育成

 キャンパス敷地内には附属病院があり、看護部とのユニフィケーションを図りやすい環境にあります。看護部には看護学科の卒業生が多数在籍しており、出身校別では最大人数となっています。看護師長や副看護師長として、また学生実習の指導者として活躍している卒業生も多く、看護学科の先輩後輩のつながりがあることは大変強みだと感じます。
 今年度は、1年次に病棟見学を計画し、患者さんの療養環境や看護師の業務を見学しました。入学早期に臨床現場の実際を目の当たりにすることで、その後の授業においても実践をイメージしながら理解を深められるものと考えています。また、各学年にわたり看護師が担当する授業も多く、臨床現場の生きた教材が学生に提供されていると感じています。
 そして、3年次の臨床実習の際には、卒業生を中心とした看護師が学生と懇談を行い、実習に臨む姿勢や学習のポイントなどをざっくばらんな雰囲気で伝授する場を設けるなど、学生が安心して臨み、充実した実習となるよう看護部と看護学科との連携によるサポートを行っています。
 附属病院には、看護師として基本的実践能力を習得したのちに、専門看護師・認定看護師・特定看護師等の専門資格を取得している看護師が在籍しています。今年度の「看護の日」のイベントとして、専門資格を持つ看護師の活動内容や育成についての説明会があり、看護学科学生も数名参加しました。専門資格を持つ看護師になるのは卒業後少し先の話にはなりますが、資格取得に関心のある学生にとって、実際に活動している看護師から直接話を聞ける良い機会となりました。また、附属病院は特定看護師を養成する「特定行為研修指定研修機関」でもありますので、研修の見学も可能です。看護部とのシームレスな教育環境を整えることで、看護師としての将来モデルをイメージし、キャリアデザインの一助となるものと考えています。

介護の日イベントの様子

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多田 邦子
看護学科 多田 邦子 教授 基礎看護学講座