2026.02.10.UP
土屋 正彦
岸和田徳洲会病院
麻酔科部長
近年の医学の進歩には目を見張るものがあります。私が卒業した当時は、在学中に得た知識で10年以上は最先端の医療を実践できる時代でしたが、現在では10年前の知識でさえ通用しないことも少なくありません。その一方で、生物としての人間そのものはこの50年で大きく変わっていません。過去の医療がすべて否定されるわけではなく、「ここが危険であった」「この工夫が有効であった」といった先達の経験は、今なお重要な価値を持っています。最先端の知識とともに、過去から学ぶ姿勢を、これからの医療を担う皆さんには大切にしてほしいと思います。
開学当初の思い出として、当時発行されていた学生新聞「KMS News」を挙げたいと思います。責任者は、土屋正彦(1期生)→ 中島(2期生)→ 平坂(4期生)→ 福本(6期生)と引き継がれながら発行され、最終的には休刊となりましたが、開学時の熱気と混迷を伝える第1級の貴重な資料です。第1号から第16号までをPDF化して保管しています。関心のある方は、今の勤務先か、私(Masahiko Tsuchiya)の論文内に記載されているメールアドレスまでご一報ください。
最後に、未来について率直に述べます。高知県は超高齢化と人口減少の最前線にあり、限られた医療資源の中で何を選択すべきかが厳しく問われています。90歳を超える患者にTAVIを行い、さらに透析導入をする医療が、社会として持続可能なのか。技術的に可能であることと、社会として選択すべき医療であるかは分けて考える必要があります。病院の数も多すぎます。医療における「選択と集中」は避けられない現実であり、高知県の取り組みは日本全体の縮図となるでしょう。高知大学医学部が、その中で新しい医療のモデルを示されることを心から期待しています。